⑨自転車日本縦断~防府市→広島県広島市~
ザーッ、ザーッ、ビュー、ビュー。
激しい雨風の音でこの日の朝は起床した。
幸い屋根付きの駐輪場の下で寝ていたので、荷物も体も濡れていなかった。
時刻はAM5:30だったが、とりあえず建物に入ろうと、出発。
2kmほど先にあるマクドナルドへ向かおうとしたが、その瞬間にパタッと雨が止む。
この日は広島市が目標。140km進む必要がったので、あまりゆっくりしてられない。
やんでいる今のうちに進むしかない、と思いとりあえず進むことに。
しかし、不安定な天気だ。再び土砂降りになったかと思えば、またすぐやんだりの繰り返し。なんやかんやでここまで予定通りに順調に来ていたが、この日ばかりは目標を変更して岩国市でやめようと思っていた。
とりあえず、岩国を目標にして進んでいると、目の前に自分と同じように自転車に荷物を積んだ小柄なチャリダーが。
雨でメンタルが弱っていた自分に取って仲間の発見はこの上なく嬉しいことだったので迷わず声をかけました。彼はなんと熊本の高校2年生。夏休みを利用して、1週間でしまなみ海道を目指して1人で自転車旅をしているところで、今日の目標は、私と同じで、広島市だった。
弱冠16歳の少年がこの雨の中、100km先の広島市に1人で向かおうとしている。
16歳に負けていいのか!しっかりしろ19歳!
少年にそういわれた気がした。偶然にも目的地が一緒だったので、広島まで一緒に行くことに。
自転車乗る人は分かると思うけど、1人と2人じゃ体力の減りが全然違うんですよね。交代交代で前後を交代して、風よけしあう。これだけで全然違うんです。
ペースも安定して、次第に天気も良くなってきた所で、広島県に突入。
宮島口駅前でひと休憩。
駅前にあった名物もみじ饅頭のお団子を頂きました。
お団子屋さんのお姉さん方がとっても優しくて、自転車で日本縦断中で、基本野宿だということを伝えると、なんと広島市内にあるおススメのゲストハウスを紹介してくれました。
PM17:00頃、広島市到着。この日はなんの巡り合わせか、終戦記念日。
平和公園で黙とうを捧げました。
そして、原爆ドーム。
生で見るのは初めてでした。地面には飛び散ったがれきや破片が当時にままになっており、教科書やテレビでは感じることのできない生々しさがありました。
平和公園前のジェラート屋さんでは、オネエに声をかけられました。
「お兄さんたちすご~い、お尻いたくないの?」
なによりも真っ先にお尻を心配してくれるのは流石だと思いました。オネエはジェラートをご馳走してくれました。
夜ごはんは、共にここまで走ってきた少年と名物のお好み焼きを堪能。
2人で食べるご飯は1人で食べるご飯の何倍もうまい。会話したり、美味しさを分かち合うのって、なによりも一番のトッピングだ。
紹介していただいたゲストハウスもとても快適だった。
たくさんの出会いがって、たくさんの感謝をした一日だった。